（…）住民の読書は、読書の楽しみが基本にあります。（…）本を読んだ後の充実感も含まれます。ららに、本のなかの知識をなにかに役立てるということもあります。
　こうしたことは、読書をする個人にまずあてはまるものです。それは地域住民ということにもあてはまります。この地域住民の読書を社会全体のなかに位置づけてみると、そこに知恵の源泉、知恵の創出の基盤となる図書館があるということになります。読書をとおして知識が蓄積され、その知識が頭の中で発酵･醸造されて思考の回路に組み込まれ、知恵となって社会にもたらされるということになります。
（…）
　図書館は、地域の中に読書環境をつくる核とならなければなりません。（…）　p.39

（…）ちょっと聞いてみたいことがある、そうしたときに図書館に電話しよう、ちょっと自転車にのってこよう、（…）ですから、事例集はよく聞かれる質問を中心に作って、自分もこんなことを聞いてみようという気になっていただくものなのです。
　むずかしい質問、本当にたまにしか聞かれないような質問はできるだけ避けて、（…）ほしいと思います。p.104

社会の中で「専門職」として認められる要件としては、
○１　社会的に「専門職」として認知されている。
○２　社会的な組織の内部で「専門職」として処遇されている。
○３　専門の養成機関がある。
○４　「資格」取得のための条件が明らかである。p.135

…階段を駆け上がって自分の部屋に向かった。
　パソコンを開いて、すぐにネット書店のサイトを開く。読んだ小説やコミックの自分なりの感想を、このサイトに書き込んでいるので、このアドレスは検索しなくても「お気に入り」の項目に入っている。
　サイトを開くと、「ポルトガルの海」と入力して検索してみた。すぐに検索結果が現れ、やはり記憶は正しかったようで「フェルナンド・ペソア著」と書いてある。
　…
　ついでのこの著者で他にも本が出ていないか調べてみた。…全部で四冊の本が入手可能になっていた。…
　全部で三冊、配送料無料で６８２５円だった。自分でも驚くほど衝動的に買っていた。いつものように一冊の本を買おうか、買うまいかと、ネットの書評を調べてみたり、オークションで探したりもしなかった。

　その三冊の本が届けられたのは、注文してから三日目のことだった。いつもの時間に会社から戻ると、店のカウンターに見慣れた小箱が置いてあった。　　　pp.91-92