| 2002年3月21日 Thu | 谷中墓地〜上野公園 家族４人でお墓参りへ |
| 今日は彼岸の中日。もう桜の咲く彼岸なんて初めてだ。 父の実家（本家というのが正しいのだが）は、上野の谷中である。父方の祖父は私の生まれる前に亡くなり、一昨年９９歳で父方の祖母を亡くしたが、いまもまだ父の長兄が谷中に住んでいる。毎年正月に父の親戚が集まるのが慣わしだったが、祖母が亡くなってからはあまり伺わなくなり、私などはまだ祖母の墓参には赴いていなかった。 父の仕事も休みで、２２日に谷中へ行こうということになり、ほんとうに久しぶりに家族４人で出かけることとなった。ちょうど桜も見ごろ。谷中墓地や上野公園の桜を見ながら歩くのもよいだろうと言いながら出かけた。 12時過ぎ、大船駅で妹と合流し、東海道線で東京。最初は上野で降りようと思っていたが、上野公園よりかは谷中墓地の桜を明るいうちに見ようということになり、京浜東北の快速を秋葉原で捨てて、山手線で日暮里。日暮里駅の南口を出て階段をあがれば、もうそこは谷中墓地である。 桜も満開で、墓参客が多い。こんなに人の多い谷中墓地も初めてのような気がする。ただし風が強く、空も曇り気味。 墓地内の交番には国旗。そう、今日は祝日なのである。妹はカメラ。母もデジカメ。３人はそれぞれに写真を撮りながら谷中墓地を抜ける。 |
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| 交番の前に「谷中小学校１００周年」の張り紙。父の出た小学校だ。 父に聞いた。「お父さんが卒業したのは１００周年の前半か後半か？」「そりゃ当然後半だろう」「そうか？」と思って数えてみる。今、父は５９歳ということは丁度前半と後半の間だってことになる。「当然ではないじゃん。ぎりぎりってとこか。ということは在学中に５０周年を迎えたはずじゃん。覚えている。」「いや〜、覚えがないなあ。」そんな話をした。（後日、この日記を書くときに計算しなおしたが、父が在学したのは、創立５３年目から５９年目となる、と思うのだが。） 下町資料館を通って言問通りを右折して根津駅方面へ下る。多くの近隣住民の反対を押して竣工した高層マンションの前を通る。 伯父の家へ行く前に墓参をということで、信行寺へ。祖父と祖母の墓をお参りする。本当に家族４人でお参りするのは久方ぶりだ。父が、墓石の家紋を指して「丸に唐花」であるということを教わる。 |
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| お寺を出て、言問通りを戻り一乗寺の手前から左へ。駄菓子屋さんのある「サンカク」のところへ出る。日本美術院の前の広いとおりを横切り伯父の家へ。そう、ここは祖父と祖母の家であり父の生家なのである。 長兄にあたる伯父と伯母は健在で、まずは祖父と祖母の位牌に手を合わせる。長らく祖母のベットがあった部屋がガランとしていることにおののく。 それから、東京の地図を広げては、このあたりの昔ばなしをひとしきり。 私の今の会社の裏、教育の森公園は、２番目の伯父がかつて出た高等師範のあった場所。そこへは、神田須田町から上野不忍池を経て来る都電の20番だかに乗ったという話。都電20番は、今の私の会社の前を通り、護国寺を曲がって江戸川橋だか矢来下だかまで行ったという。 それから、さきほどの美術院の前のひろい通りの話。父はかつてそこで、サンカクベースをやったという話。 父の長兄と続く兄たちは歳が近く、谷中小学校の１年３年５年の級長を同時に務めたという話。それが祖母の誇りであったという。その後数年して入学した父への期待はよくも悪くも大きかったようで、それは今でも父の心に残っているという話。 そして、ちらし寿司とおはぎをご馳走になる。これもお彼岸ではいつも頂くものだ。伯父から、ちらし寿司は江戸でのお彼岸の風習だと教わる。「入りのぼた餅、明け団子、中の中日(ちゅうにち)チラシ寿司」という言葉も教わる。団子は串ではなく、餡をのせたものだということ。 小一時間ほどして、伯父の家を辞する。家の前には大きな国旗。染め抜きではなく切り抜き（というのか）の大きな国旗である。 その前で並んでもらって写真を撮る。 |
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| さて、ぶらぶら歩いて上野駅へ向かおう。愛染かつらで有名な愛染寺を通り、風呂屋を改装したギャラリーの角を曲がって、さきほどの谷中墓地からの道に出る。 | |
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| そのまま言問通りを一度突っ切って、芸大の方へ行ったが手前を右折。昔、私が祖母と遊んだ写真の残る公園の中から階段を下り、三段坂を下る方へ。古い井戸の残る家を発見。それからまた戻って、上野高校の前へ。ここも父が出た高校だ。すでに校舎は立て変わっているが、数年前すぐ上の兄が校訓の石碑を作るのに関わったという。父の兄弟たちの話は、昔の話と今の話とがさまざまで、うっかりすると大事な功績とかを聞き逃しているからおそろしい。そういうことはちゃんと聞いて覚えておかないと、と思う。 | |
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| 坂を下っていくと、そこは森鴎外の生家跡。今はホテル鴎外荘なるものが建っている。さらに坂を下ると、そこは先日１２０周年を迎えた上野動物園の中。かつて、パンダが来たときに生中継された裏門の前を通り、本園と西園の間の道となる。頭上には先ごろ新型車両に代えられた動物園内のモノレールが。これは日本最初のモノレールで懸垂式である。話には聞くが、実際に見るのは久しぶり。しばらく、行って帰ってくるまで待って写真に収める。 |
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| そのまま行けば不忍池へ出るが、左の石段をあがって上野東照宮へ。もうここらの桜は満開で、屋台は出るは人は多いわで大変な賑わいとなっていた。上野公園内にはいれば、一面に花見客が展開されており、人通りも最高潮。時折吹く猛烈な風がほこりを舞い散らし、目もあけていられない状態に。ただ、まだ満開になったばかりの桜というのは、このぐらいの風でも散ることはないのだということに気付く。 | |
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| 上野清水堂とかいうお堂もあり、不忍池を琵琶湖に見立てた京都の清水寺のようで、いちおう舞台になっている。まあ、上野の山は、比叡山をみたてて、江戸城から東にある比叡山ということから、東叡山とも呼ばれていたくらいだから、こうした見立ては数多くある。 そうして、西郷さんの前に出る。さて問題。西郷さんは犬を左右どちらにつないでいるか。もちろん写真は撮ったが、写真は見ないで答えてみよう。  そのまま下の通りに降りて、新しくなった上野駅へ。なんだかありきたりの店ばかり並んでいるし、大変にせせこましい。父は本屋によりたいと言ったが、私が改札の中にもあると言ってそのまま広間へ。
この広場だけは健在。案内板に日本語・英語の他、ハングルと中国語の漢字が書かれているのに気付く。そして反対側のエスカレータを上がり、入谷口の方へ。東西の新しいひろい跨線橋がかけられ、パンダ橋とか名づけられている。改札を入って中の本屋に寄った後、京浜東北線で帰ることにする。今日は結構歩きました。家族４人で歩いて、しかも勝手行動ではぐれたりもせず、意見が割れたりして別れ別れになることもせず、４人そろって帰れます。横須賀線で帰る妹とは東京駅で別れたものの、３人はそのまま本郷台へ。 春の一日。よいお出かけでありました。 |
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